とりとめのない

舞台の感想を書きます。ネタバレ考慮ないです。

COCOON 月の翳り星ひとつ 「星ひとつ」編(その1)

考察とかはほぼ無いです。ただの感想です。

※シリーズ作品含めネタバレ配慮なしです。未見作品がある場合ご注意ください。

あまりに長くなったので、(その1)としてます。

 

見返したら結構な散文でした。

読みにくくてすみません…。

 

「月の翳り」編の感想はこちら

cnnmn.hatenablog.com

 

 

 

 

初めてのトランプシリーズをリリウムの円盤から始め、初めて観劇したのがグランギニョルな人間からするととても感慨深いものだった。

初日を観たときは、これはTRUMPの再演だと思った。しかも今までの作品を丁寧に積み重ねた先のTRUMPだと。

でも重ねていくうちにもうひとつのTRUMP、もっと言えばウルsideだと思えた。今までの裏側を丁寧に掬い取ってくれた。

星ひとつが観られて本当によかったなとしみじみと思った。

 

10周年という節目に上演するシリーズの作品としての意味を感じた。今までの作品のピースが見えながら、どの作品にも無いものがある。

今まで主に絶望を色濃く残してきたもののなかで、唯一希望がハッキリと残る。

例えその希望を手にするまでたくさんの絶望が犠牲になっているとしても、最後に残ったのは紛れもなく希望だと思った。

 

グランギニョルで、末満さんが希望が残ったと言ったときは、いや希望に見せかけた絶望だろうと思っていた。

だってウルは心から欲していた永遠の命もソフィという友だちも手に入れられずに死んでしまうんだから。

 

でもそうじゃなかった。

ウルは友達も手に入れていたし、死に怯える呪いにも、たぶん負けなかった。

自分たちの結末をグランギニョルにしたくなかったダリちゃんの想いからきているかもしれないけど、それでもその言葉に嘘はなかった。

 

いつか、末満さんがコクーンを「マルコ・トリロジー」にしようか、みたいなことを呟いていた。

その時はなんてこっちゃと思っていたけど、月の翳り編はアンジェリコ、星ひとつはウルの物語だとすると確かにマルコ・ヴァニタスの二人の息子の物語であり、確かに「マルコ・トリロジー」だ。

マルコは嫌いだけど、まあそうだね、という話です。

 

 

キャスパレ

キャスパレ曲は輪廻夜想

過去作を彷彿とさせるピースがあちこちに散りばめられていた。

ガ・バンリのところではスペクターの衣装のボディが出てきた。

ダリちゃんは舞台中央上段に出てくるのだけど、下段で陰翳たちが一列でまわりグランギニョルのキャスパレで死ぬ順番に崩れ落ちていくのをやっていた。

 

ウルが陰翳に囲まれて揺れるのは、繭期に翻弄されているのだろうか。

最後にダリちゃんがウルを抱きかかえるところでは、マリゴでアナベルがガーベラを抱きしめるところを彷彿とさせた。

(このシーン、ライビュでは中央下のカメラから撮っていて、余計にマリゴを思い出させた)

 

 

キャラクターの感想(月を含める場合があります)

 

ラファエロ

どうしてもラファエロをみてしまう~~

フリーダ様から受け継いだ強い癖毛の赤髪!ポニテかわいい!

 

初めて荒木さんを見てたんですけど、見れば見るほどツボが増える顔。私独自のカテゴリだとソフィのみっちゃんと同じところにいる。

 

月で見ていると、最初は星のラファエロの面影がすでにあるラファエロだったんだけど、段々と繭期の調子が悪くなってきてた。

もう赤ちゃんみたいだった。ダリの言葉にビクビクして、アンジェリコやディエゴにかけられる言葉に明らかに反応する。

ディエゴのコクーンを飲まされて本当の自分を見せろ言われ「お父様、僕のことちゃんと見てよ…!」というところなんて膝を抱えて泣いていて、もう本当にまるきり子供だった。

正直に言えば、この子供みたいにゆらゆらグラグラしたラファエロに結構してやられた。完全に落ちてた。

次に入った公演からずっとラファエロ見てた。はい。

 

ライビュでアンジェリコに「まずはその忌々しい両目から潰してやるよ」と言われて両目をぎゅうっと瞑っているところがカメラに抜かれて(か、かわいい~~~~っ)ていう思考にとらわれてにやけた。5秒くらい。そりゃ両目潰されるのいやだよね!こわいよね!

 

ウルの守護者に目覚めるところ、初日のときは追い詰められてる感あって

→つぎは守護者こそが俺!みたいなサイコパス感がある笑顔みせてきて

→ライビュだと優しい兄みたいな守護者だった

ソフィに対しても、初日は忘れたけど3日目くらいのときはもうソフィを見たらクマみたいに襲いかかるんじゃないか、みたいな発奮ぶりだった。敵意剥き出し。

 

ラファエロがこんなに不安定な存在だと思ってなかった。公演ごとに印象が変わっていたけれど、でもそれほどに難しいんだろうな。

ちょっとラファエロについては円盤見ながらじっくり考えたい。

先が長い(円盤発売は半年後)。

 

 

ダリ

いや、お前が紛うことなきMVPだよ!!!!!

笑いも涙も全てかっさらっていった。染様はさぞ楽しいだろうなあと思った。

お戯れのところ、染様が考えているのかなと思うんだけど、どうでしょう。

グランギニョルでも日替わりあったけど、刀ステ然りアドリブが上手なんだろうな。

後生なのでお戯れ集がメイキングに入ることを祈る(アンケートの欲しいものにいちいち書いた)。

 

星ではダリちゃんがいかに二人の息子を愛していたかが描かれていた。

二人のためならドブネズミ臭い孤児院にだって行くし、神様とだって直接話をつける。裏でこんなに頑張ってるのに全然伝わってないよ。

グランギニョルで他人のダンピールを引き取って自分の家の子として育てると言ったダリちゃん相当すごい。

息子はもちろんレイン上級議員以外はウルもダリちゃんの実の息子だということを疑わなかったし、そういうことにして育ててきたんだろう。

グランギニョルを一人で背負いすぎだよ。

グランギニョルなんかにしないように、ラファエロもウルも同じく愛したし二度と失わないように、フリーダ様とスーに託された二人をダリちゃんなりに子育てしてきたんだろう。

まあ、月をみて明らかだけれどまあまあ失敗してるんですけどね。

 

ラファエロが燃えて灰になったあと、ダリの頭に残るフリーダ様の声、「ダリ、ラファエロをお願い。あの子が貴方みたいに立派な貴族になれるように」が辛かった。

弟と同じダンピールを噛んで殺そうとした結果、神様に燃やされてしまう息子。

ソフィを噛んだときのダリちゃんの顔、憔悴しきっていた。

 

フリーダ様には、ラファエロの前では常に厳格な父親であれと言われていたから、その通りにしていたんだろうな。だってダリにとってフリーダ様はたった一つの星だから。

掴めなかった星に手を伸ばすようにフリーダ様の言葉を反芻しながら子供たちに接してきたのかな。

 

最後に赤い花弁がひらひらと舞い落ちてくるところ、あれはなにを表しているのかなあと思った。

言葉にはできないダリちゃんの悲しみだといいなあ。赤は悲しみの色。

 

 

アンジェリコ

月でラファエロとの友情を洗い流して、父に愛されたいと感情を共有したアンジェリコはもういなかった。

アンジェリコフィーバー、キレッキレでしたね。

「ク↑ズ」の言い方がめっちゃすきでした。収録日にはちょっと言い方変わってたけど。

 

ただ本当に安西さんのお芝居すごいなと思う。

初日に月の翳り編で出てきたアンジェリコが朗らかすぎて、私の知ってるアンジェリコ様と違いすぎて混乱した。

でも、ラファエロと訣別をしてただ一人の理解者を求めるのではなくなった時、彼は彼自身の高貴さで立っていたんだと思う。

その片鱗が出てくる時に本当に感動したし、アンジェリコがだんだん知ってるアンジェリコ様になっていくのがわかる。

月のアンジェリコを知ってから見る星のアンジェリコは苦しくて仕方がなかった。

 

 

ジョルジュとモロー

まとめて申し訳ない。だってニコイチだもん。

でもこの二人、すっごい、すっごいよ!

私はグランギニョルの大久保さんの演技にもうこれ以上ないほど心底かき乱されてきたので、とっても好きなんですけど、同じくグランギニョルでもう憎い演技をしていた池村さん。

二人がコンビになったらそりゃもういいでしょうよ!

まさか最初は貴族狩りなんてしていたなんてちっとも思わなかったけど!

 

パンフのジョルジュとモローの詩もとてもいい。

高貴さに屈する宿命、悲しく美しいなあと思う。

 

小説も小説ですよ。あんなに読み返したくなる小説あります??

可愛いがすぎるよね!ニコイチ!

 

2人ともアンジェリコ様が僕の夢を聞かせてあげるよってなったとき「ワァ…!!!」っててかわいい

ジョルジュ→これが俺たちのアンジェリコ様だドヤ顔
モロー→ポワポワ乙女顔。言葉にめっちゃ頷いててかわいいめっちゃアンジェリコに恋してる顔

小説に加え癒し担当かよ!!!!!そうだよ!

 

月でディエゴのイニシアチブから解放させて以来イニシアチブを発動させていなくて、ジョルジュとモローは自分らの意思でアンジェリコ様に付き従っていた。それに誇りを持っていた。

でも、星で剣術試合の前にラファエロを刺した時には「もうこれが自分の意思なのか、もうわからないんです」という。

なんてことを言わせるんだアンジェリコ様。彼らはあなたを心から慕っていたのに。

 

 

 

 

非常に長くなってしまった。

まだまだ書きたいので次の機会にします。

書いたらリンク貼ります↓

(リンク予定)

【感想】COCOON 月の翳り星ひとつ 「月の翳り」編

ブログを開いたことを思い出したので、せっかくなので感想をおいておきます。

※シリーズ作品含めネタバレ配慮なしです。未見作品がある場合ご注意ください。

 

 

 

月星両方とも初日に観劇。

その後月は劇場で3回、星2回、ライビュで星1回観ました。

計4回ずつ。ずっと月星の順番です。

順番狙ったわけではないけれど、いい感じに観れて嬉しかった。

 

 

一番好きな台詞

星は死、そのものだよ。月はそれを悲しんでるんだ。

じゃあ、悲しいっていうのは綺麗なんだね。

 

 

特にコメントは無いが、とにかく好きですこの台詞。

 

 

「甘えん坊なラファエロ」と「泣き虫アンジェリコ」の訣別

月の翳りはこの2人の訣別の話である。そしてそれぞれが過去の「甘えん坊な」「泣き虫」な自分と訣別する話であるとも感じた。

ラストシーンの話。アンジェリコラファエロにボッコボコにされて、「二度と関わるな」と言われて「嘘だよ、冗談だよ」と縋るの。

なんて素直で可哀想な人なんだろうと。

結局ラフェエロは去っていってしまう。

アンジェリコが蹲りながら泣いて、顔を上げて泣いたところで大量の花弁が落ちてきて暗転。

「泣き虫アンジェリコはもういない」

 

もし、2人の間だけでも「甘えん坊のラファエロ」と「泣き虫アンジェリコ」を否定しないでいられたら、2人で抱き合うことができていたら何か違っていたかもしれない。

2人の父親であるダリとゲルハルトのようになれなかったのはなぜだろう。

ふたりが甘えん坊と泣き虫でいられるのは、ふたりが一緒にいたからであって、2人が訣別してしまえば「甘えん坊」も「泣き虫」もいない。その訣別は「泣き虫アンジェリコはもういない」というセリフで表されているんだとおもう。

 

 

キャスパレ

キャスパレの前から話をしますが、序盤、名の無い繭期の少年達が横たわり、彼らに当たる照明で繭のように見える。

これが繭期のイメージシーンのようで、結構好き。

 

キャスパレ本編。

アンジェリコラファエロの握手が弾かれるところから始まり、最後はアンジェリコが本編ラストに声をあげて泣くシーンとシンクロ、非常に不穏な破壊音のようなもので終わる。

 

 

ただの感想

最初は家族のもとを離れ、ソワソワしながらクランにやってくるラファエロ。自分より1週間前にきたアンジェリコに安心感を抱く。

最初ラファエロがアンジェリコに感じた安心感に翳りはなかったと思う。無邪気

お父様にお手紙を書いているところでもそれは明白。

うきうきお手紙書いているラファエロかわいい。

 

君は変わらないな、というアンジェリコにお前気持ち悪いな!とはっきり言っちゃうラファエロ

ダリとゲルハルトの幻影が見える。

 

エミールがウルに見えるラファエロ

 

繭期愛好家界隈があるのか。絶対関わりたくない。

ろくなもんじゃない。

 

陰翳ちゃんかわいい。

ゆらゆら動く。

 

ライネス

月の翳りのライネスは、①でかかり始めて、②が本番(本番とは)だった

ラファエロがウルを選ぶところ

②アンジェリコがウルを「お前さえいなければ!」と殴りにいくところ

 

①については私が注視しているときは何も見ずにウルを指差していたけれど、アンジェリコを見ながらウルを選んでいるときもあったみたいなので、ここのラフェエロの心情はちょっとわかんない。

ただ、回想前にアンジェリコに僕を選んでくれ!って言われてるときはアンジェリコを見つめていたし、アンジェリコを選びそうな感じすらしていた。

でも赤ん坊の声が聞こえて、ウルと初めて引き合わされた時に不憫な運命を背負ったダンピールである弟を守ろうと思った気持ちをおもいだしてウルを選ぶ。

この回想から時間軸が戻ってくるときに、ラファエロの表情がフッと消えるのがほんとにすごい。

 

②は、ウルがいなければラファエロは自分を選んでくれるはずなんだ!という、TRUMPにおけるウルポジションですよね。あれ、?しんどいね?

 

 

演出

赤い衣装

ラストシーンでアンジェリコラファエロが着てくる赤い衣装。最初逆光のなかで出てくるんですけど、白い衣装の反射のしかたじゃなくて、なんだろう?と思ってから衣装が真っ赤だと気づいたとき。

スエミツ~~~!!!!!!!となるよね。

 

ジュリオが見えていたその人の根幹をなす感情、ラファエロとアンジェリコの赤。

夕陽の赤。血の赤。

とても美しい赤。

アンジェリコのデリコ家とフラ家の誇りをかけて手加減なしで戦え!という申し出を受け、文句なしにボッコボコに叩きのめす。

貴族同士殴り合うの!?!?それが青春なの!?

途中からそこは完全に夕陽に照らされる河原になっていました。

思春期の少年がタイマンで殴り合うのは河原でしょ?(偏見)

 

繭期の表現 

深い繭期=海の底

おくすりを飲むとき、ラファエロがウルの幻影を見てるときとか、ごぼごぼと海に沈むみたいな音がしていた。繭期がひどくなるイメージは海に沈んでいくイメージなのかも。

陰翳ちゃんたちのマスクも心なしか海の生物みたい。

フジツボ説を見たけれど、確かにそれっぽい。

 

満月

劇中で出てくる月は必ず満月で、満ち欠けをする過程が映されることはない。

何かが起こっているのは必ず満月の夜なんだろう。

満月には繭期が酷くなるとか。

 

また満月について、ドナテルロがその月を「繭のように美しい月」と称するのは月の美しさと繭期の美しさを同じように見ているのだろう。

でも繭期というのは特異な性質を持ち、ヴァンプの成長過程にあるものでヴァンプとして完全なものではない。欠けていない完全な丸である月の美しさとは相反するものであるように思う。

でもドナテルロは繭期の暴力をを純粋な衝動として完璧なものとして考えているから月と照らし合わせるのだろう。

 

キャラクターの感想とかは別で書きます。

ひとまずここまで。

 

星ひとつ編に続く

 

cnnmn.hatenablog.com

【感想】ミュージカル スリル・ミー

ミュージカル スリル・ミー

2019/01/05 19:30公演(松下×柿澤)

 

2019年観劇初めはこの作品だった。

 

友人がこれ観たい〜と言っていて、面白そうだったのでチケットを一緒に取った。

取れるまでは今まで何度も上演されてきていて、人気の公演とは知らずに…。

 

 

事前にあまり情報を入れずに年を明けたが、1回で噛み砕けるか自信がなかったので、元の事件の概要のみ直前に予習していくことにした。

これは正解だった。

1回しか観劇予定がない場合は多少なり予習していく方が私にはあっている。絶対もう一度行きたくなるので…。

あとなんかチューするっぽいな、という情報のみで臨んだ。

 

開場後パンフを購入。

立ち読みしてる間に、「母と暮せば」で松下さんを一度観てることに気づく。

情報仕入れなさすぎて笑える(笑)

 

会場に入ったとき、狭!暗い!と思った。

さらに座ったら座ったで最下手だったのでちょっと不安だった。

結果見えないは見えないなりに気にならなかった。妄想で補った。

 

開演時間になったあと、会場が波を打ったように静かになりとてもドキドキしていた。

最初に後ろから足音がした時は普通に誰かが遅れて入ってきていたんだと思った。

まさかしょっぱな降臨とは…。

ゆっくりゆっくり歩んで舞台に上がった。

 

以下は順不同の雑感です。整理するかもしれないけど。

 

松下さんの19歳と53歳の演じ分けがすごくて。

53歳の時は裁判で供述しているところだから、両手を前で組んでいるんだけど、その佇まいや声の出し方喋り方まで何がどうというわけではなく全てで時の経過を物語っていた。

 

柿澤さんは色気がすっごい。

目線から指先から溢れ出るアレ。

その彼の動きに期待したり落胆したりする私に心がぎゅっとしていた。

 

全体を通してだと、私の乏しい観劇経験からもミュージカルという感じがほとんどしなかった。

話すように歌うというのはまさにこんな感じかと。

ピアノ1本の劇伴がシンプルで良い。シンプルイズベスト。

 

燃える時の音が、めちゃくちゃ低く振動していて耳やられた。

超サラウンド。

 

彼が柱を足でバァン!!って蹴った時や盗んだ荷物が上から落ちてきた時はめっちゃびっくりした。 

 

 

 

去年は推しが出る作品を追うので精一杯だったが、今年はそのほかのものも色々みてみたいなあと思っている。

(推しが今年の出演作品を何も発表してないのもあるけど)